ニュー・ディレクション・フォー・ジ・アーツをニュー・ディレクション・ユニットに改名(1974年)してから二枚目に当たるアルバム。録音メンバーは、70年代のニュー・ディレクション・ユニットの中では最も長く活動した編成である。
アルバムタイトルも曲名もT.S.エリオットの詩から材を取った本作は、ニュー・ディレクション・ユニットの基本コンセプトのひとつである「グラジュアリー・プロジェクション(漸次投射)」の方法による、内向きに緊張感を高めながら音楽的エネルギーの高まりを表現する完全即興演奏二曲(『We have existed』『What have we given?』)、「マス・プロジェクション(集団投射)」の方法による、音楽的エネルギーと狂気が四方八方に激しく爆発し飛び散る完全即興演奏一曲(『My freind,blood shaking my heart』)により編まれた。
そもそも本作は、米ニューヨークのESP-Diskレーベルからの「高柳昌行など日本のフリージャズミュージシャンによるレコードを制作したい」という依頼に応じる形で、大橋邦雄が企画し、スタジオ録音された作品だが、米国ではテストプレスも終わったとされており、また日本ではジャケットのテストプリントも完了していたものの、結局日の目を見ることはなかった。
その後、まさに高柳の最晩年の1991年にApril Diskレーベル(コジマ録音)より、一曲めの『We have existed』の別テイクをボーナストラックとして収めたCDとして発売された。本作はそのApril Disk版をリマスタリングし、大橋邦雄による解説も含めて復刻しつつ、1975年に日の目を見るはずだったジャケットを、そのテストプリントを元に、高柳作品のジャケットデザインではお馴染みのデザイナー佐々木暁が忠実に再現した紙ジャケットでお届けするものである。
米国の名門フリージャズレーベルをも震わせた“幻の名盤”を、未聴の方にはぜひ聴いていただきたい。
<曲目>
- We have existed 10:21
- What have we given? 6:43
- My freind,blood shaking my heart 19:43
- We have existed (Alternate Take) 10:06
高柳昌行 Masayuki Takayanagi (G)
森剣治 Kenji Mori (As, Fl, BCl)
井野信義 Nobuyoshi Ino (B, Cello)
山崎弘 Hiroshi Yamazaki (Perc)
1975年4月30日、5月11日/恵比寿・ヤマハ音楽振興会スタジオにて録音
プロデュース:大橋邦雄
レコーディング:Kunio Arai
リミックス:Yukio Kojima
デザイン:Tamotsu Kurosaki, 佐々木暁
解説:副島輝人、大橋邦雄
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