1970年ビクター「日本のジャズシリーズ」 復刻盤A JAZZY PROFILE OF JOJO
オーソドックスなジャズのアドリブを追求したスタジオ盤
2018年3月23日発売
12年ぶりの再発売
帯、ジャケット、解説等をLP盤の装丁を再現しました。
本作は、スタンダード・ジャズの名曲の数々を高柳昌行流の解釈による“ジャズ”として演奏し、録音された一枚だ(7曲のスタンダードのほかに、ジョン・コルトレーン、クルト・ワイル、アンドレ・セゴビア、アレクサンドル・スクリャービンの楽曲が演奏されている)。高柳昌行のフリー・ジャズ活動であるニュー・ディレクションの開始(1969年)直後の1970年3月に録音されているが、『解体的交感』など阿部薫との伝説的活動も同時期に行われていることを考えると、それまでのジャズの追求からまったく新しいフリー・ジャズの試みへと力強く歩み始めた時期の、貴重な“高柳流ジャズ”の記録だと言える。「スタンダード・ジャズの名曲の数々」を採り上げているものの、テーマの提示に続いて各演奏者が順々にアドリブでのソロを披露し、最後にテーマに戻って終わる、というジャズの聴き手が親しんでいる形は一切取られていない。テーマの提示なしに、いきなりギターのアドリブが展開されている。
そのためか、どの曲もその曲のコード進行や、あらかじめ定められた構成やリズムと(曲によっては)編曲されたホーン・アンサンブルに彩られてはいるものの、楽曲というある種の制約に囚われない、実に豊かなギターのそして音楽の表現の力というものを、十二分に味わわせてくれる(ただし、『PRELUDE IN CHORDS』と『PRELUDE NO.4, OP.16』は、ほぼ譜面通りの演奏)。
高柳昌行のギターだけに焦点を当てて言えば、ファンにはお馴染みの高柳独自の奏法による表情豊かな演奏を堪能できるだろう。一方、高柳昌行にあまり馴染みがない、あるいはジャズを聴き始めたばかりといった聴き手にとっても、“ジャズ・ギター”の楽しさを味わわせてくるような明るさ、開放感、親しみやすさ、そして音楽的滋味に満ちた演奏である(ほとんどの曲が2〜3分台に構成された演奏だという点も、聴きやすさ、親しみやすさにつながっているかもしれない)。
高柳昌行と活動を共にしてきた原田政長、山崎弘のリズムセクションが本作独自の魅力を支えているのは言うまでもないが、渋谷毅(現在も自身が率いる渋谷毅オーケストラやエッセンシャル・エリントンで、傾聴すべき美しさを湛えた編曲を手掛ける)によるピアノとホーン・アレンジも、高柳昌行ならではの“ジャズ・ギター”による音楽の魅力を支えている。
高柳昌行の音楽に深く傾倒している聴き手には、さらにこの先のセカンド・コンセプトにつながる一作として興味をそそるだろうし、高柳昌行のことをよく知らない聴き手にとっても、ジャズという音楽の見知らぬ一面を垣間見ることができる作品である。
なお今回のリリースは、CDでの二度めの復刻となるが、最初のリリース時(1970年のアナログ・レコード発売時)に掲載された間章による解説も再録されている(パッケージデザインもオリジナルLPのジャケットとほぼ同じになっている)。一度めのCD復刻の際に掲載された、高柳昌行に師事した今井和雄ならではの知見と視点にって書かれた解説ももちろん再録。高柳昌行研究という視点でも、注目すべき再リリースと言える。(青木修)
※間章の解説は、ケースの中から(CDを取り外した状態で)お読みいただけます。
※また購入特典として、間章の解説ページを拡大印刷したものをお付けいたします。(無くなり次第終了)
<曲目>
- THE THINGS WE DID LAST SUMMER 3:42
- WHO CAN I TURN TO (WHEN NOBODY NEEDS ME) 3:03
- THAT OLD FEELING 2:37
- PRELUDE IN CHORDS 1:12
- ROCK-A-BYE YOUR BABY WITH A DIXE MELODY 2:36
- THERE'LL NEVER BE ANOTHER YOU 3:39
- SAY IT (OVER AND OVER AGAIN) 3:14
- MY FOOLISH HEART 4:19
- MORITAT 3:40
- PRELUDE NO.4, OP.16 1:13
- EMBRACEABLE YOU 3:33
<メンバー>
高柳昌行 Masayuki Takayanagi (G)
原田政長 Nagamasa Harada (B)
山崎弘 Hiroshi Yamazaki (Ds)
渋谷毅 Takeshi Shibuya (P)(トラック1、2、7、8、11)
福島照之 Teruyuki Fukushima (Tp, Flh)
谷山忠男 Tadao Taniyama (Tb)
橋爪智明 Tomoaki Hashizume (Tb)
中島正弘 Masahiro Nakajima (Tb)
衛藤幸雄 Yukio Etou(Fl)
黒沢勝美 Katsumi Kurosawa (Frh)
編曲:渋谷毅
1970年3月26日、29日/東京スタジオセンター
解説:今井和雄、間章、斉藤安則(JINYA DISC)
(p)(c)2018 BIRD ELECTRON
※本作は、1969〜70年に日本ビクターより発売された「日本のジャズシリーズ」の中の一枚を復刻したもので、ビクターエンタテインメント株式会社より音源をお借りし制作したのものです。ビクターエンタテインメント株式会社にてオリジナルマスターテープよりプレスしております。
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